どこ行くん?ほん近く。

“こんな大阪も見てほしい!”を主旨にした連載ルポルタージュ。趣あるすいなイラストと共に、大阪限定のやや濃い口なお話で綴っていきます。要となるイラストは、天満を舞台にしたNHK時代劇、「銀二貫」のタイトルイラストでお馴染みの内橋未央氏、ルポは阪上寿満子が担当致します!

第5回
リアルなだけじゃない、美味しそうなのもマストな職人技!
食品サンプルの奥深さを体験。

“どこいくん?”で、一回は行ってみたいと思っていたのが、何かモノ作りをする体験教室。そしてどうせなら、大阪っぽいのがいいな……といろいろ調べていたら、食品サンプルは大阪が発祥との説が有力というではありませんか。というわけで、今回は平野区にある「森野サンプル」さんで食品サンプルのワークショップにスタッフ全員で繰り出しました!

リアルすぎる展示物が、まず心を掴む!

JR平野駅から徒歩約10分。賑やかな駅前から徐々に徐々に離れて、工場などがあるエリアも越えてひたすら歩き進んでいくと、懐かしく庶民的な風情の住宅街の中にいきなり作業場のようなところを発見。表には暖簾がかかっていて、小さく“森野サンプル”という看板も……。よくよく注意を払いながら歩いていないと絶対に見落としてしまう佇まいが逆に印象的でした。
ちょうど入口付近にスタッフらしき人がいらしたので、事前に予約をしていた私たちは名前を告げてさっそく作業場の中へ。
そこで目に飛び込んできたのは、壁に展示されたありとあらゆる食品サンプル。焼きそばに、うどん、お寿司など、お馴染みのジャパ二ーズなメニューが並んでいて、中でもとびきり目を引いたのが生牡蠣でした。どこからどう見てもリアルな牡蠣にしか見えないのです。ちょっと絶句するほどの出来栄え……。まったくの初心者の私たちにはどう頑張っても到底真似できない超一級品でした。

作るの30分、乾かすの1週間。

で、私たちが今回作ったものはというと……パンケーキ、ケーキ、パフェでした。ネット予約で事前にこの3種類の中から選んで申し込むシステムになっていて、パンケーキはパンケーキの土台がのったお皿、ケーキはケーキのスポンジ部分のみを現場でもらいます。パフェに関しては、パフェグラスにまずはソフトクリームをニュリニュリ~と専用のマシンで入れてもらいます。

左からトッピングを入れる紙コップと共に、パフェグラス、パンケーキ、スポンジケーキ。手前は生クリーム。

そして次の工程から、各々好きなフルーツやウエハース、アイスクリームなどをお好みで盛り付けていきます。バイキングのようにトッピングのパーツを所定の場所からあれこれと選ぶのも、なかなか楽しかったです。トッピングを固定させる接着剤がわりになる生クリームは、精神を集中させながら絞っていかないとちょっと取り返しのつかないルックスになってしまうのでご用心!見た目の美しさや美味しさを意識しつつ、レイアウトを考えて潔くデコレーションしていくのがポイント。単純かつ簡単なようでいて、バランスが難しいことを実感する一瞬です。そこかしこに性格も出ちゃいますしね……。

キウイやリンゴ、ベリー系のフルーツなどが小分けの箱の中にぎっしり。ここからベストチョイスを決めるのが、難しい!

そしてようやく、どこかデコボコした素人クサい、それでいて愛嬌のあるデザートサンプルの原型がひとまず出来上がります。そこに、今度はスタッフさんがとっても上手い具合にとろり~~っとソースをかけてくれます。さすがプロ!ちょっとしたことなんですが、ここで一気に完成度が上がり、私たちのテンションもア~~ップ!仕上げに、フルーツ部分に艶出しのためのニスを塗ってテリ感と共に本物感をプラス、さらに全体にチョコスプレーをパラパラ~~と散りばめれば、彩りもポップな自分だけのスイーツアートの完成です。

艶出しのためのニス。塗ると塗らないでは大違いなのです!

所要時間約30分。こんなに短時間で出来上がったのに、完全に固まるまではなんと1週間ほどかかります。私たちは自分たちの作品第1号をアクリルのケースに入れてもらい、大事に大事に抱えて持って帰りました。

*以下の完成イラストをクリックしていただくと、“作品写真”を見ることができます。
贅沢すぎる盛り盛りのトッピングで完成!見れば見るほど愛着が…。 パフェ パンケーキ ケーキ
味や調理法をわかっていなくちゃできない、食品サンプル。

今回の体験で、スタッフの方に食品サンプルの作り方のコツやこだわりの部分をほんのちょっとだけ聞いてみました。色塗りや盛り付けでのリアルさ、美味しさのアプローチ、そして、いかに店頭でお客さんの目を引くか、そういったことについてはプロの料理人さんと同じ感覚を持ってなくちゃダメなんだなぁと思いました。たとえばきつねうどんなら、油揚げがより美味しそうにおつゆに浮かぶ感じを追求したり、艶があってシコシコとした歯触りのうどんがお椀の中にどうおさまるのがベストかをとことんこだわり抜いたり……(これは体験の途中、お弟子さんにレクチャーされているのを小耳に挟み、とても興味深かったです)。それには出汁の味の良し悪しや、うどんの茹で具合などもわかっていなくちゃ表現できないといいます。また、食品サンプルは本物の食品から型をとったりするそうなんですが、それだけではリアルな仕上がりにはなりません。プロの筆さばきがモノを言うのです。これについては絵描きさんのようなアート感覚も重要になってきます。魚だったら、鱗の細かな模様や濃淡、光り加減などは微妙な筆先の色塗りで完成度が大きく変わります。とくに寿司ネタの中で、時間もテクニックも要するのは、意外にも海老。 茹でたとき特有のあの繊細な色と模様は熟年の技なくしては、そうそう簡単にうまそうな海老の握りは出来上がりません。寿司桶の中で同じように並んでいても、大トロよりも食品サンプルとしてお値打ちなのは意外に海老だったりするわけなんですね、奥深し……。

そんな話を聞いているうちに、今度はもうちょっとだけレベルアップしたサンプル作りにもチャレンジしたいな、という気分に。聞くところによると、自分たちで作りたいものを買ってきて、型を取るところから始めるコースも予定しているとか。ここまでくると食品サンプルのちょっとした弟子入りレベル、修行レベルですネ。生半可な気持ちではチャレンジするまいっ、デス。そこまでのレベルまでいかなくとも、私たちが今回体験したスイーツ作り、興味のある方はぜひ!こちらからチェックしてみてください。スイーツ以外にお弁当作りもありますよ。