移動型パーティ「PLAY」
第六回 4月23日 テーマ:『ツレアイ』at 伊賀上野

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昨年の秋から月一で開催されてきた「PLAY」も、この回で最終となった。ラストテーマは、“ ツレアイ ”。恋人がいる人もいない人も、既婚者も離婚者も、興味深い題材だ。




毎回このイベントには一人で出向き、ルポを行なっていたが、今回はうちの若手女子スタッフも同行することに。嫁入り前の女子だし、何かとお勉強になる話が聞けるのではないかと…。しかも、単なる “ ツレアイ ” というだけでなく、LGBTの観点からの話も色濃いことが予想され、新たな視野がひろがるといいなという期待もあった。



本イベントが行なわれた伊賀上野は、東京都渋谷区・世田谷区に次いで全国で3番目に「同性パートナーシップ宣誓制度」を導入したこともあり、当然その話題にも注目が集まった。同性パートナシップ宣誓制度は、同性カップルが住居の賃貸契約を結んだり、病院での面会や介護なども戸籍上の家族でなくても認められるなど、さまざまなことに適応される。 当日はこの制度に精力的に取り組んだ伊賀市の岡本栄市長もゲストに招かれており、トーク&ショーのゲストとして、ドラァグクイーンであり脚本家でもあるエスムラルダさん、音楽を通じてLGBTの存在を広めようと活動中のFTM(女性として生まれ、男性として生きる人)のダンスユニット・X-ways(エックスウエイズ)のお二人も参加。さらに、世代も生活環境も全く異なる女性お二人も、お隣の南山城村から駆けつけた。たくましく生き抜く若いシングルマザーの方、長い年月旦那様と連れ添ってきたカフェの奥様……そうした女性の立場からの意見も飛び交い、とても幅のあるトークセッションがざっくばらんに繰り広げられ、皆真剣に興味深く話に聞き入った。私たち聞く側の人たちの中には、さまざまな悩みを抱え、今回のイベントで何か希望の糸口を見つけようと訪れている人も少なくなかったはずだ。トーク後のフリーな交流会のタイミングでは、切実にゲストに思いを打ち明けている人の姿が見られた。



会場となった場所はとてもおしゃれなカフェで、周辺は美しい緑の山々、広大な畑が見渡せる。人里離れたのどかな場所で、市長も、カフェの奥様も、若いダンサーも、TVでもよくお見かけするベテランドラァグクイーンの方も、性を超え、世代も超えて、それぞれひじょうにフラットな立場で “ ツレアイ ” というテーマを語り合った。大阪や東京で開催するとなると、もっと規模が大きくなったりするのだろうけれど、それだと逆に垣根が高くて素直に話題に入って行きにくいような気もしないでもない。同行したうちのスタッフは、都会でこそ、こういう活動をもっともっと積極的にやらなくちゃいけないはずなのに、大阪から数時間も山を超えた田舎町で、いろいろな世代のいろいろな人たちが今回のようなテーマをごくごく自然に受け入れているこの状況が、ちょっと不思議で素敵な試みだなと思ったようだ。



岡本市長は数年前、想像以上にセクシャルマイノリティのことで悩んでいる人々が多く存在していることに衝撃を受け、それ以降、当然やるべきこととして同性パートナーシップ宣誓制度導入を実現した。それもとてもスピーディに!「完璧を求めるよりも、まずはできることからかかり始める。あとは走りながら考えていけばいい。」ーーー岡本市長の揺るがない指針だ。今後も活動を積極的に続け、次世代に残していけるより多様性のある社会を築くべく新たな方向性模索を続行中だという。現状、この同性パートナーシップ宣誓制度を受けて、各種企業が動き出したという話も近頃耳にする。それでも、まだまだ足りないことや課題は山積みかもしれないが、この先、たとえば公的な書類で、女性・男性を記入する欄に、もう一つ新しいカテゴリーを加えるのが当たり前になることも皆無ではないかもしれない。



いつものように、トークのあとはゲストによるショータイム! エスムラルダさんのチョッピリ刺激的なステージをがっつりカブリツキで……。

昨年秋から始まったPLAYも、この回で終了です。 全六回のイベントを通して、また次の新しい展開が期待できるかも……!? これまでのシリーズをお読みいただきましてありがとうございました!