︎移動型パーティ「PLAY」
第三回 1月8日 テーマ:『イキガイ』at 笠置

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奈良市内からひたすら国道163号線をまっしぐら。笠置駅とは反対方向の細道へとそれ、 急な上り坂を登って行くと、小さなカフェの看板を掲げた民家が見えてきた。言われないと絶対辿り着けなさそうな場所ながら、親戚の寄り合いのように続々と人が集まってきていた。




思わず「お邪魔します…」と言いたくなる玄関の引き戸をガラガラと開けて上がってみると、ゆったりとしたお座敷の居間があり、いくつものちゃぶ台の前に座布団が丁寧に敷かれていた。すでに大勢の参加者が集まって席についている。廊下にはいろいろな銘柄のコーヒー、紅茶、日本茶が並んでいて、セルフでいただけるようになっていた。廊下を隔てたダイニングルームのような部屋には、地元の手作りパン販売コーナー。二階にはこじんまりとしたギャラリーが設置されていて、この日のゲストのうちのお一人、書道家の丸谷ひろ子さんの作品が展示されていた。



イベントの序盤は、書によるライブペインティング。それまでザワザワとしていた空間に、少しの緊張した空気が流れた。筆のはらいの音がかすかに聞こえ、ほんの数分で、本イベントタイトルの “ レッツプレイ ” と書かれた作品が完成した。まだ松の内だったので、謹賀新年などの文字も書かれた。ライブペインティングを鑑賞したあとは……、“ 自分資源発掘 ” と書かれたテスト用紙のようなものが配られてきた。自分のなかのキーワードをAtoZで書いてみよう、人生で叶えたい8つのことは?…これらを各テーブルで自分のお隣の人と発表し合う。自分のなかで大事にしていることを意識して掘り下げていくことにより、生きがいを見つけられるようになるのだそうだ。見知らぬ人との共同作業。これもとても面白かった。



この日のイベントメニューはなかなかに豊富で、さらにディスカッションもテンション高く、参加しているお客さんたちからも積極的に意見や質問が飛び交った。伊賀市の市議会議員を経て僧侶として活動する市川岳人さん。画家であり、島ヶ原村民芸術「蜜の木」の代表として過疎化する村を盛り上げるべく伝統行事の継承活動等を行なう岩名泰岳さん。香川県で介護の仕事をしながら、ギター1本でライブ活動を展開中のかんのめぐみさん。皆さん一人一人が個性的で、語られるお話も興味深い充実した内容であった。市川さんや岩名さんはそれぞれの立場から自分たちの村でいまできること、村人たちと共有できることは何かに、いつも意識が向けられている。それもぬかりなく一直線に。手段やアプローチはまったく違うけれど、それがライフワークであり、日常のエネルギーになっているようにさえ感じられた。



イベントの最後は、かんのさんの弾き語りが披露された。かんのさんは介護の現場で経験したことを歌詞にする。大昔の話、老人のふとした一言にドキッとしたら、それを歌に託す。人の長い人生は、まさに人間のヒストリーそのもの。それを敏感に受け止め自分の音で綴っていくことは、音楽家としてのかんのさんが担っていることなのかもしれない。