︎移動型パーティ「PLAY」
第四回 2月11日 テーマ:『ナラワシ』at 島ヶ原

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前日から三重県は雪が降り、「PLAY」始まって以来、一番寒い日となった。この日は、島ヶ原で “ 修正会 ”(しゅしょうえ)という奇祭について専門家から学ぶことになっていた。その後、実際のお祭りに参加。天候が気になったが、予定通り練りこみも開催された。
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今回の会場は、修正会に参加する7つの講のうちの一つ「蜜の木講」で頭屋を務める東豊崇(あずまひろたか)さんのご自宅。祭りの由来や言い伝えなどについては、「ふるさとミュージアム山城」の横出洋二さんからレクチャーを受けた。参加者の中には奇祭に好奇心を燃やしてか、徳島からはるばるやって来た外国人男性もいた。そもそもこの修正会というお祭りは、奈良の東大寺のお水取りに先駆けて行なわれており、その歴史は1200年以上にものぼるという。伊賀の地に春を呼びこむ行事として昔から村人たちに親しまれ、三重県の無形民俗文化財にも指定されている。



祭りの準備は数日前から頭屋の家で行なわれ、練りこみの前の食事もふるまわれる慣わしとなっている。今回のイベントに参加した人は、その慣わし通りお食事をいただいた。お酒を飲み交わして腹ごしらえすると、皆の心が一気に解き放たれる。心身共にウォームアップされたところで揃えの法被を身に纏い、お供え物を持ったら、さぁ出発だ。



練りこみに用いられるお供え物は、あまり日本的ではない。インディアンの儀式に使われそうな雰囲気だ。とくに節句盛(せっくもり)と言われる鬼頭がそれらしき風情だ。角は人参、目は蜜柑、口と眉は栗、耳は餅か大根でつくられる。一見怖いが、よく見るとコミカルだったりもする。このほか、巨大な鏡餅を白い布でくるんだものや、木の枝に餅を突き刺したものなどもある。これらお供え物を持って「エット~~エットエット~~」と乱声を発しながら正月堂に向け村を練り歩く。この “ エット ” というのは、“ 越冬 ” に由来しているとも言われている。



春というにはまだ遠い2月半ばの日曜日。雪がチラホラ舞い降る田んぼ道を、どこまでも歩いていく。私たちの声に家から出てくる人もいた。遠くから別の講の声も聞こえてくる。お寺に到着すると、本堂のなかでは皆がヒートアップしてお供え物をしていた。私たちも順番が来ると、乱声をますます高くし、節句盛りや餅を納め、のぼりの竿で床を叩きながら祭りの数え歌に声を張り上げる。祭りのクライマックスだ。皆が振舞い酒に酔い、陽気にはしゃぐ。この独特の空気感はどの地域のどの祭りも同じだ。こんな珍しいお祭りで毎年盛り上がっている村があるなんて……日本は狭いようで広い。まだまだ知らない場所だらけ、知らないことだらけだ。練りこみを終え不思議な達成感を覚えながら、来た道をのんびり帰る。今日も来て良かった、としみじみ思った。